【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、架空送電線の融雪
方法に関する。尚、電線には着雪と着氷とがあり、それ
ぞれに対し、融雪、融氷となるが、本発明では、これら
をまとめて「着雪」と「融雪」とする。

【０００２】

【従来の技術】架空送電線、例えば架空地線の着雪対策
としては、電線の形状を工夫して着雪を抑制する方
法、電線に難着雪用付属品をつけて着雪を抑制する方
法、電線に需要側で必要とする以上の電流を流して電
線のジュール発熱で融雪を促す方法、電線に融雪用付
属品をつけて融雪を促す方法、が提案されており、試験
的なものを含め実線路に適用されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前述した従来技術にお
いて、電線形状の工夫と付属品取り付けによる着雪
抑制方法は、雪質によっては必要な効果が得られない難
点がある。

【０００４】また、過大な電流での発熱による融雪促
進方法は、電力運用系統が複雑になる。さらに、融雪
用付属品による融雪促進方法は、必要な熱量を効率的に
得るのが難しい。

【０００５】そこで、本発明の解決すべき課題（目的）
は、架空送電線における着雪をその雪質によらず短時間
で効率よく融雪することのできる、架空送電線の融雪方
法を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明により提供する架
空送電線の融雪方法は、架空送電線に、２３５０〜２５
５０MHz の高周波を印加して、架空送電線に着雪した氷
雪を溶かす方法からなる。

【０００７】この方法のように、２３５０〜２５５０MH
z の高周波を印加すると、架空送電線に２３５０〜２５
５０MHz の電流が流れ、この電流のつくる電磁波にて架
空送電線に付着する氷雪の融雪が促進される。

【０００８】上記のように、高周波の周波数を２３５０
〜２５５０MHz とするのは、この周波数が水分子の回転
を促進し、効果的に水分の温度が上昇するためである。

【０００９】また、上記のような高周波の印加によれ
ば、架空送電線に付着する水分のみが加熱され、電線
（金属）そのものは加熱されないので、電線の温度上昇
による送電線ロスの増加がない。

【００１０】前記の方法を実現し易くする方法として
は、架空送電線からピックアップした電源により高周波
発信回路を経て通電する高周波付加用コイルにて架空送
電線に高周波の電流を流すのが良い。このような方法に
よれば、電線そのもののサイズ形状を問わないので、新
設線路は勿論既設線路へも適用可能である。

【００１１】また、ピックアップ電源部と高周波発信回
路の間にオン／オフ制御させることで、降雪或いは着雪
時にのみ効率的に高周波の印加を行うことができる。

【００１２】

【発明の実施の形態】図１は、本発明に係る架空送電線
の融雪方法の実施例を示すもので、１は架空送電線、２
はピックアップ電源部；トランス及び電源回路、３はオ
ン／オフ制御部、４は高周波発信回路、５は高周波付加
用コイルである。

【００１３】この実施例は、架空送電線つまり電力線１
にピックアップ電源部２のトランスを取り付けて電圧ま
たは電流をピックアップし、これを定電圧または定電流
回路を通すことで必要な電源を得る。

【００１４】上記のようにして得られた電源を用いて高
周波発信回路４を動作させることにより、２３５０〜２
５５０MHz の高周波を発信させ、これを高周波付加用コ
イル５にて架空送電線１に高周波の電流として流し、以
て、架空送電線に付着する氷雪の水分を加熱して融雪に
供するのである。

【００１５】上記のような回路動作は降雪或いは着雪時
にのみ行えば良く、そのためにオン／オフ制御部３を設
け、降雪或いは着雪時にのみオンとすれば良い。

【００１６】尚、以上の実施例はあくまでも好適な例と
して示しており、変形・応用が可能である。例えば、高
周波付加用コイル５は、トランスであっても良い。

【００１７】

【発明の効果】以上説明したような本発明によれば、架
空送電線における着雪をその雪質によらず短時間で効率
よく融雪することのできる、架空送電線の融雪方法を提
供するという所期の課題（目的）を達成することができ
る。

【図１】本発明に係る架空送電線の融雪方法の実施例を
示す説明図。

１ 架空送電線 ２ ピックアップ電源部；トランス及び電源回路 ３ オン／オフ制御部 ４ 高周波発信回路 ５ 高周波付加用コイル